犬がかわいい

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かわいい犬

最近、犬がかわいい。

きっかけはケリー・ライカートだと思う。「オールド・ジョイ」と「ウェンディ&ルーシー」に出ていたルーシーの存在感。それから『オイモはときどきいなくなる』のオイモ。加えて、IさんとNさんが犬を飼い始めたという話、アンソロジー本『作家と犬』の影響もあるかもしれない。犬づいている。

 

ということで、街中を散歩する犬に目が行くようになった。犬自体にも目が行って、ああ、可愛いなあと思うし、飼い主との関係性も気になる。飼い「主」と、散歩させてもらっている「犬」なんだけど、どうかすると、「犬」の方が「主」で、飼い主に散歩させてあげているようにも見えてきたり。どちらにしても、少し緊張感のある信頼関係のようなものが感じられて、二者で一つ、という感じがけっこういいなあ、(無理だけど)犬を飼う人生もよかったなあと思う。

 

ヴァージニア・ウルフの『フラッシュ 或る伝記』を読んだ。自分にしては早く、1日で読了したから、読みやすさもあり、面白かった。飼い犬・フラッシュ(コッカー・スパニエル)の視点から、19世紀の女性詩人エリザベス・B・ブラウニングを描くという離れ業の本だけど、内容は奇をてらった感じではなく、すごくまっすぐな感じもした。最初の飼い主に置いていかれたときの慌てよう、新しい飼い主・バレット嬢との運命的な出会いの場面から、気持ちが近づいたり離れたり、また違う関係に変わって行ったりする様子など、完全にフラッシュに感情移入して喜んだり切なくなったりした。最後は、「人生」という長い夢を見ていたようで、ああ、いろんなことがあったなあ、悪くない人生(犬生?)だったと胸の中がじわりとあたたかくなった。まだ他の著作を全然読めてないけど、ウルフの”意識の流れ”的なアプローチは、「時間」というものを主題として描こうとしているのかなとも思ったり。次は『波』を読む。

 

あと、犬の出てくる小説ももっと読みたい。「猫語り」より自意識が入ってくるのが少なくて(比べることもないけど)、今は「犬の話」が気持ちにあっている気がする。