ワクチンとノーマ・レイ

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POCARI SWEAT & NIKE

この週末、ついにワクチン1回目を受ける。少しどきどきしたけど、接種会場についてみれば、とてもスムーズで接種はあっけなく終わった。これで感染が少し予防できるなんて、人体のメカニズムって不思議だなあと思ったり。副反応は、当日夜から翌日にかけて、打った腕が痛くて力が入らない。2日目となる今朝はだいぶましになった感じ。

 

ワクチン接種のため、土日はなるべく予定を入れず、家でゴロゴロ安静にして過ごしていた。本は集中力がなくてあまり読めなかったけど、DVDで「ノーマ・レイ」を観た。「組合」をテーマに、いろいろ観たり読んだりしようということで選んだ一作。『労働組合とは何か』(岩波新書)でアメリカの組合運動について予備知識があったから、ふむふむ、これが「産業別労働組合」かとわかって、より楽しめた。

 

映画は、実話をもとにした、1978年アメリカ南部の紡績工場を舞台に、シングルマザーのノーマ・レイが、ユダヤ系ニューヨーカー、ルーベン・ワショフスキーの指導のもと、労働者のためのユニオン(労働組合)を作ろうと奮闘する話。ノーマとルーベンの友情や、組合運動の理想と現実を描くバランス、クライマックスの作り方などとてもよかった。紡績工場には黒人労働者も多く、組合ができるのが他の産業より遅かったという描写もあり、ちょうど『地下鉄道』で南部の綿花栽培プランテーションについて描かれているのを読んでいたから、きっとそこからつながっているんだろうなと思った。ほかにもユダヤ人差別のことも出てきて、アメリカ社会について学べるし、ストーリーも素直に感動できる、とてもいい映画だった。

 

他に労働組合作品はなにがあるかなと探すのがいまちょっと楽しい。けっこうあるのかな。

 

 

 

赤い電車

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四ツ谷駅丸ノ内線

先週末は、充実のおでかけだった。午後、封切りすぐの映画「オールド」を吉祥寺プラザで観てから、四ツ谷駅に移動して駅周辺で写真を撮り、夜は、小んぶさんの落語会。

 

「オールド」は、〝時間の流れが早くて、一日で一生(約50年)が終わってしまうビーチ〟での物語ということで、うん、そんな映画だった。宣伝で先に物語の設定を知って観たからそれほどの驚きはあまりなかった気もするけど、封切りすぐの映画を映画館で観るという行為が楽しかった。一日で一生が終わるというのは、悪夢ではあるけど、映画では、(主人公の両親にとって)それが一種の救いみたいにもなっていた。いろいろ問題もあったけど、もうどうでもいいか、というのはちょっとわかる気もする。

 

四ツ谷駅周辺をぶらぶら歩いていると、上智へ向かう道の脇に、土手みたいに高くなって、駅や線路が上から望めるスポットを見つける。緑が多く、人通りも少なく、いい場所。蚊に刺されながら、赤い丸ノ内線が通るのを何度も待って写真を撮るというのが楽しかった。

 

小んぶさんの落語会は、今度の真打昇進を祝う会ということで、さん喬師匠、喬太郎師匠、小傳次さん、喬之助さん、小平太さんと豪華出演者。間の口上も和気藹々として楽しかったし(いつも一人で喋る噺家さん同士の掛け合いはいいな)、トリの小んぶさんは本当によかった。これからも追いかけたい。

 

 

 

 

目をこらすと見えてくるもの

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SIGMA DP2X

カメラを買った。なんでもない写真を撮るのが楽しくしかたない、という一枚。

 

図書館に行って「サンデー毎日」の「新 炉辺の風おと」をまとめて読む。牛乳問題、群れでいるときは発現しない個性、半返し縫いのような時間感覚、やっぱりたくさん発見がある文章で、とっても面白かった。

 

週刊誌だからこその時事性・同時代性も、ああこれは座標軸だと思えて、なんだか心強かった。目をこらせば見えてくるものがちゃんとある。

犬がかわいい

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かわいい犬

最近、犬がかわいい。

きっかけはケリー・ライカートだと思う。「オールド・ジョイ」と「ウェンディ&ルーシー」に出ていたルーシーの存在感。それから『オイモはときどきいなくなる』のオイモ。加えて、IさんとNさんが犬を飼い始めたという話、アンソロジー本『作家と犬』の影響もあるかもしれない。犬づいている。

 

ということで、街中を散歩する犬に目が行くようになった。犬自体にも目が行って、ああ、可愛いなあと思うし、飼い主との関係性も気になる。飼い「主」と、散歩させてもらっている「犬」なんだけど、どうかすると、「犬」の方が「主」で、飼い主に散歩させてあげているようにも見えてきたり。どちらにしても、少し緊張感のある信頼関係のようなものが感じられて、二者で一つ、という感じがけっこういいなあ、(無理だけど)犬を飼う人生もよかったなあと思う。

 

ヴァージニア・ウルフの『フラッシュ 或る伝記』を読んだ。自分にしては早く、1日で読了したから、読みやすさもあり、面白かった。飼い犬・フラッシュ(コッカー・スパニエル)の視点から、19世紀の女性詩人エリザベス・B・ブラウニングを描くという離れ業の本だけど、内容は奇をてらった感じではなく、すごくまっすぐな感じもした。最初の飼い主に置いていかれたときの慌てよう、新しい飼い主・バレット嬢との運命的な出会いの場面から、気持ちが近づいたり離れたり、また違う関係に変わって行ったりする様子など、完全にフラッシュに感情移入して喜んだり切なくなったりした。最後は、「人生」という長い夢を見ていたようで、ああ、いろんなことがあったなあ、悪くない人生(犬生?)だったと胸の中がじわりとあたたかくなった。まだ他の著作を全然読めてないけど、ウルフの”意識の流れ”的なアプローチは、「時間」というものを主題として描こうとしているのかなとも思ったり。次は『波』を読む。

 

あと、犬の出てくる小説ももっと読みたい。「猫語り」より自意識が入ってくるのが少なくて(比べることもないけど)、今は「犬の話」が気持ちにあっている気がする。

平日と買い物

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BLUE SEAL

夏休み明けの平日。3日間、仕事に励む。

 

池袋で展示のためのプリント額装を受け取った帰り、汗かきながら食べたサンシャイン地下のBLUE SEALアイスは美味しかった。黒糖味。沖縄も行きたいな。

 

仕事再開して、さすがに本(小説)がなかなか読めない。朝は目覚ましなしでもだいたい6時台に目がさめるけど、始業までの時間はしばらく勉強の本を読む時間としたい。アナリティクスの本も読みたいけど、まずは労働組合関連の本かな。仕事終わりはご飯作って食べると、お腹が苦しくて(まだ調子が良くならない)、ぼーっとしてあとは寝るしかできない。やはり週末かな。

 

ところで、新しい処方のせいか、少し活動が活発になっているような自覚がうっすらある。といっても体力はないから、それほどではないけど、ネットでいろいろ買い物をし過ぎかもしれないな。かわいいシャツとかで、どれもいい買い物だと思うけど、ちょっと気をつけたい。

 

土日はうれしいな。

お休みが終わってしまった

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Kichijoji UNIQLO

夏休みが昨日で終わってしまった。

 

今年も、盆踊りにも旅行にもどこへも行けず。つまらなさは感じつつ、その分、(主に)家で読書に励めたのはよかった。

 

読み切ったのはルシア・ベルリンの『掃除婦のための手引き書』と、桐野夏生の『日没』。ルシア・ベルリンの方は「さあ土曜日だ」という短編が特によかった。ベルリンが刑務所で創作を教えていた経験を反映した短編で、「長さ2、3ページで、最後に死体が出てくる話、しかも直接言及しない形で死体が出てくるのがわかる話」を書くなんて課題が出たりするのが面白そうで、しかも、この短編自体のラストがその課題に応えた形になっているのが見事。そういう授業があったら受けてみたいなと思った。『日没』は、初めて桐野夏生作品を読んだという満足感。聞いたことあるけど読んでことない作家の本を読むのはいいな。他にもやってみたい。

 

昨日は吉祥寺でいろいろ買い物。古本市でヴィム・ヴェンダースの写真集を買えたのがよかった。テキサスやカリフォルニアやアメリカの風景を撮った写真集で、どこか寂寥感があってよい。ブログがもう少し続いたら、カメラを買って写真もまた撮りたいな。

 

さあ水曜日だ、ということで今日から仕事再開。

アメリカ(文学)という物語

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ケリー・ライカートとコルソン・ホワイトヘッド

なんとなく、ブログを始めてみようと思った。

仕事で、本心や自分の興味とかけ離れた文章(というと言いすぎだけど)を書いてばかりいるせいか、自分で自分のことがよくわからなくなってしまったところもあって。Twitterも好きだけど、140字という制限のないところで、また違う性格のものを日記みたいに書いてみるのもいいかなと思って。

 

最近見たケリー・ライカート特集上映の影響で、アメリカが、大学生以来、自分のなかで何度目かのブームになっている。ケリー・ライカート特集のパンフがとても面白い。

柴田先生(「わからなさの尊重」という文章で、安易に意味や物語を見出さないというのが、自分が映画を見るときの態度にも近い気がした)や長島有里枝さん(周縁化され制限されてきた"女性の作り手"としてライカートに共感しているところとか深く頷く)が書いているのもよかったし、町山広美さんがタランティーノを引き合いに出しながら(実際、お互いに言及し合っているそうで、そのことも紹介しながら)ライカートを語るのとか、今読み返してもとても面白いし、村尾泰郎さんという人の、Yo La TengoをはじめUSインディーという音楽ジャンルについての記事もよかった。「オールド・ジョイ」にカート役で出ていたWill Oldhamは、ミュージシャンでもあるらしく、彼の音楽も少しずつ聴いていきたい。

 

一緒に並べて撮ったのが、今読んでいるコルソン・ホワイトヘッドの『地下鉄道』(半分くらいまで来たので、感想は読み終わったらまた)。

 

ところで、なんで自分はアメリカ文学に惹かれるのかなと、実はよくわかってなかった。現代にしても、近代にしても、日本文学が好きなのは、わかりやすくどこか自分に通じるものがあるからなのかなと思うし、韓国文学は、同時代性みたいなの(今、自分はどこに立っているのかを明らかにしてくれるというか)に惹かれているのだと思う。

 

もちろん、アメリカ文学のいろんな作品の中に、自分に近いものを見つけることもあるけど、たぶんそれ以上に、アメリカという国の成り立ちや歴史も含めて、「アメリカ」を一つの物語として、面白がっているのかなと思った。それが最近、改めてなのか、意識して思ったこと。これは一つの発見だ。